【ITインフラ担当者向けコラム】もしもセキュリティ攻撃にあったら?企業が取るべき初動対応と再発防止策

2025年12月12日

「物流が止まる」という衝撃——サイバー攻撃が突きつけた“見えないリスク”

2025年秋、日本を代表する大手企業が相次いでサイバー攻撃を受け、物流システムが停止するという前代未聞の事態が発生しました。

ある飲料メーカーでは商品の出荷が滞り、スーパーやコンビニの棚から商品が消える事態に。オフィス用品を扱う大手通販会社では、注文処理や配送が大幅に遅延し、消費者の生活にも直接的な影響が及びました。
これらの事件は、もはやサイバー攻撃が単なる「情報漏えい」ではなく、企業の“経済インフラ”そのものを麻痺させる脅威であることを私たちに突きつけました。

ITシステムは企業活動の根幹を支える“見えない血管”とも言える存在です。その一部が止まるだけで、全身に深刻な影響が及ぶ——そんな現実が、今回の事例から浮き彫りになったのです。

では、もし自社が同じような攻撃を受けたら、どのように対応すればよいのでしょうか?ここからは、被害を最小限に抑えるための初動対応と、再発防止のために企業が取るべき基本対策について解説します。

まず何をすべき?初動対応の3ステップ

サイバー攻撃を受けた直後は、時間との勝負です。対応が遅れるほど被害は拡大し、復旧にかかるコストや信用の損失も大きくなります。ここでは、企業が最初に取るべき3つの基本ステップを整理します。

被害の把握とネットワーク遮断

サイバー攻撃を検知した際、最初に行うべきは「何が起きているのか」を正確に把握することです。どの端末やサーバーが影響を受けているのか、どの範囲に被害が及んでいるのかを特定することで、対応の優先順位が明確になります。次に、被害の拡大を防ぐため、該当する機器をネットワークから切り離します。感染が広がる前に遮断することで、他のシステムやデータへの波及を防ぐことができます。必要に応じて、業務システムの一時停止も検討しましょう。ここで重要なのは、慌てて電源を切らないこと。証拠となるログやメモリ情報が失われる可能性があるため、慎重な対応が求められます。

 社内外への報告と連携

インシデントが発生した場合、社内の関係者への迅速な報告が不可欠です。特に経営層や情報システム部門には即時に連絡し、対応方針を協議する必要があります。また、被害が顧客や取引先に影響を及ぼす可能性がある場合は、誠実かつ迅速な情報提供が信頼維持の鍵となります。さらに、個人情報が関係する場合は、個人情報保護委員会への報告義務が発生することもあるため、法的な観点からの確認も重要です。警察やIPA(情報処理推進機構)などの公的機関への相談も、被害の全容解明や再発防止に役立ちます。社内外の連携を密にし、組織として一丸となって対応にあたる体制を整えましょう。

証拠保全と専門家の協力

攻撃の原因を突き止め、再発を防ぐためには、証拠の保全が欠かせません。ログファイル、通信履歴、アクセス記録など、あらゆる関連データを保存し、後の調査に備えます。特に、攻撃者の侵入経路や手口を特定するためには、詳細なデータが必要です。また、社内に専門的な知見が不足している場合は、迷わず外部のセキュリティベンダーや弁護士に相談しましょう。初動の段階で専門家の助言を得ることで、対応の精度が高まり、被害の拡大を防ぐことができます。社内だけで抱え込まず、外部との連携を前提とした体制づくりが、今後のリスクマネジメントにおいても重要です。

初動対応を適切に行うことで、被害の拡大を防ぐことができます。しかし、攻撃は一度きりではありません。次に重要なのは、再発を防ぐための仕組みづくりです。ここからは、企業が取り組むべき基本対策を見ていきましょう。

再発防止のためにできること(3つの基本対策)

初動対応が終わったからといって、安心はできません。サイバー攻撃は一度きりではなく、同じ手口や新しい手法で再び狙われる可能性があります。ここでは、再発防止のために企業が取り組むべき3つの基本対策を紹介します。

社員教育の徹底

サイバー攻撃の多くは、従業員のちょっとした油断から始まります。特にフィッシングメールや偽装サイトへのアクセスは、日常業務の中で誰にでも起こり得るリスクです。そのため、全社員を対象とした定期的なセキュリティ研修が不可欠です。実際の攻撃事例を交えたケーススタディや、疑似フィッシングメールを使った訓練など、実践的な内容を取り入れることで、社員の危機意識と対応力を高めることができます。また、セキュリティに関する相談窓口を設けることで、日常的な不安や疑問を解消しやすくなり、組織全体のセキュリティ意識の底上げにつながります。

パスワードとアクセス管理の強化

パスワードの使い回しや単純な文字列の使用は、攻撃者にとって格好の標的です。強固なパスワードポリシーを策定し、定期的な変更を促すとともに、多要素認証(MFA)の導入を進めましょう。これにより、万が一パスワードが漏洩しても、不正アクセスを防ぐことができます。また、業務に必要な最小限のアクセス権限を設定する「最小権限の原則」を徹底することで、内部からの情報漏えいや誤操作によるリスクも軽減されます。アクセスログの定期的な確認も、異常の早期発見に役立ちます。

 バックアップとシステム更新の習慣化

ランサムウェアなどの攻撃では、データの暗号化や破壊が行われることがあります。こうした事態に備え、重要データの定期的なバックアップを行い、復旧手順を明確にしておくことが不可欠です。バックアップはオンラインだけでなく、オフライン環境にも保管することで、攻撃の影響を受けにくくなります。また、OSやソフトウェアの脆弱性を突いた攻撃も多いため、システムのアップデートやパッチ適用を怠らないことが基本です。IT資産の棚卸しと更新状況の可視化を行い、常に最新の状態を保つことが、攻撃を未然に防ぐ第一歩となります。

 

これらの対策は、すぐにすべてを完璧にする必要はありません。しかし、できることから一歩ずつ進めることで、企業の防御力は確実に高まります。最後に、今回のポイントを振り返り、備えの重要性を再確認しましょう。

まとめ ~ 備えあれば憂いなし ~

サイバー攻撃は、もはや一部の大企業だけの問題ではありません。中小企業や自治体、教育機関など、あらゆる組織が標的となり得る時代です。「うちは大丈夫」と思っているうちに、被害は静かに進行しているかもしれません。

だからこそ、事前の備えと初動対応の徹底が、企業を守る最大の武器になります。今回ご紹介した内容を参考に、自社のセキュリティ体制を今一度見直し、万が一に備えた体制づくりを進めていきましょう。

 


 

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